2011年11月27日日曜日

プロとアマチュアの境目

 最近、NY在住の友人MT(@munetakanyc)さんとツイッターで以下のようなやり取りをしました。

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MT:きっとフォトグラファーもそうだけどプロとアマの境目が曖昧になってる。みんな巧いしみんな下手。売れるから天才。でもない。天才だから売れる訳でもない。

KAZ:100人のアマチュアの100枚のまぐれショットと100枚確実に取れるプロが一枚を争う時代と思う。

MT:多分それだとプロは負けますな。


KAZ:圧倒的技量を持つ限定されたプロだけが生き残っていける厳しい時代ですよね。

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 私はプロとは”コンスタントに決められた時間内に一定の成果をあげる事が出来る人”だと思っています。カメラマンを例にとってみましょう。写真はだれでも撮れますがプロを雇うのは確実に求めるものを撮ってきてもらうためです。そして確実に撮ってくるレベルが高ければ高いほどカメラマンの価値も相対的に上がっていく訳です。
ただしそれはカメラマンをお願いする前の話し。難しいのはすでに撮ってきたものを比べた場合。世界中に何万人もいる素人のまぐれショットと同列で比べられるとかなり分が悪くなってきます。シャッターチャンスはたまたまそこにいただけで撮れてしまうものもあるからです。報道的なものはドンドンこられの物に浸食されています。というかされています。311を始めここ最近の世界中の震災や災害の映像は素人のものです。
 もちろん作り込んだ撮影や撮るべきものが決まっている物はまだまだプロの領域です。でも実はそれすらも多くの写真共有アプリ、ブログ、Youtube、二コニコ動画や、Ustreamなどでガンガンアマチュアは攻め込んできています。いまのところ広告は一番安泰ないようにも見えますが、アメリカのドリトスは昨年スーパーボールのコマーシャルを一般公募しました。とはいえライターのように写真以上に誰でも書けてもプロが存在しつづけている分野もあるので厳しいとはいえなくなるわけではありません。

 技術革新が進んだためにあらゆる分野でプロとアマチュアの差がなくなって来ています。昔は高価で使い方を学ぶためには学校にまで行かなければならなかった写真を始めとした映像関係、ゲーム制作、CG、アプリ等のコンピューター関係。そして面白いのはテレビに出る事に慣れきった素人まがいのタレント達です。
 こちらのブログでバラエティー番組は大喜利だと書きましたが、それは笑点などよりもさらに枠を広げて多人数からコメントをかき集めて面白いものを抽出するやり方が上記で言うアマチュアの100枚と基本の思想は同じだからです。メインをはらした人にも調子の悪い日もあれば苦手なトッピックもあるでしょう。作り手側からすればバックアップを増やしておくにこしたことはないという訳です。もちろんエースを入れてからの布陣を考えたりする訳ですから充分に戦略的ではありますが。そしてまぐれが続かないタレントは消えていくだけです。水道橋博士のブログがその辺の事を非常に端的に語っておられます。冒頭の高田文雄氏の一文を下記に抜粋します。ブログ本文もとても面白いので是非、ご一読を。
実はブログを知ったのは上記のMTさんのつぶやきです。


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自分好みの芸人になること 水道橋博士(以下孫引き)
「江戸前で笑いたい」編・高田文夫(筑摩書房)より。 
96年7月28の日刊スポーツ「トークスペシャル」より
「この間のフジテレビの30時間テレビをやった時、
 これで金をもらっていいのだろうかとつくづく思ったよ。
 テレビ文化のガンは俺だなと思った。今のタレントは、
 ただ座って人のやってることを適当に面白くアドリブでしゃべるだけで、
 芸なんかないでしょ。
  『おまえが作ったんだって』言われそうだけど、
  あの手軽さを後から出てくるヤツが、みんなマネしてしまったんだな」
とは、テレビタレント、ビートたけしの言葉だ。
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 結局こんな時代にプロがプロであり続けるためにはアマチュアが足元にも及ばない感性と技術を持つしかない訳です。コンスタントに結果を出し続けるしかない訳です。タレントであれば上り詰めて司会をする場に廻る。もちろん司会だって結果は出し続けなければなりませんが。

 そして今まで以上に大変なのは製作物のプロデューサー達です。製作自体はプロアマ問わずに縦横無尽に選べるから楽しいですが、完成した物は同じようにプロアマ問わず比較されるからです。素人が簡単に発表できるYoutubeやItune といったものの進化はドンドン進んでいくでしょう。つまるところ本当の意味での実力社会になってきたともいえるわけです。楽して稼げる商売はドンドンなくなっていきますね。
  アマチュアの方はガンガン挑戦していきましょう!プロの方はよりいっそう切磋琢磨しましょう。境目がないから面白い。より高見を目指して行きましょう!!

 そんな時代に今まで以上に重要で面白い仕事は選者です。最近ではキューレーターなんて言い方もありますね。あらゆる製作物を並列に比べて選んでエンドユーザーに届ける役割はこれから重要になっていくでしょうね。キューレーターに関しては佐々木俊尚さんが提唱されています。とくにツイッター(@sasakitoshinao)のつぶやきはとても面白いです。フォローお薦めです。個人的にはアイコンは変えた方がいいとは思うのですが...。


 私個人としてはプロデューサーという言葉が大好きでしたが、最近では改めてコーディネーターという言葉も好きです。ジャンルを問わず必要な物を必要な所へなければ作る。
それは情報だったり物だったり人だったり、それって厳選しているという意味ではキューレーターですよね。
 

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