2011年11月20日日曜日

能登半島/石川県七尾の旅 その四

 石川県在住の陶芸家東龍知右門さんに誘われてふらふらと石川県七尾から鵜浦へとやってきました。

その一 東京から七尾へ その二 七尾から輪島へ
その三 七尾の夜はふけてゆく

 さて、楽しい夜を過ごした翌日。五時に起床。ホテルの窓から朝焼けが見えました。 陽が沈む直前の光は最も柔らかく美しい事から撮影業界ではマジックアワーと呼ばれています。三谷幸喜さんの映画のタイトルにもなっていますね。夕焼けが有名ですが、陽が昇る直前の朝焼けもマジックアワーなんです。 昇る直前は一日で最も気温が下がります。ぴりぴりした空気の中、遠くからうっすらと明るくなってきて、何かかが始まるかのようなゾクゾク感、太陽が顔を出すその瞬間ま での分刻み出での空の色の変化は本当に美しいです。ご来光が出たあとは明るさがますと同時に気温も上がり始め、儀式の終わりを感じさせます。

まさに神々の時間。



 アメリカでロケコーディネートをしている頃にはそれこそあらゆる場所で日の出と日没を見てきましたが、だらだらと始まってだらだらと終わる夕方よりもメリハリがあって、個人的には朝の方が好きです。時間が短いのでロケ時は夕方以上に戦場となりますが...。 撮影をしてない日にマジックアワーを実感すると今この瞬間に走り回っている人たちが沢山いるんだろうと思い、うまく行きますようにと一瞬願ってしまう。一種の職業病ですね。

富山湾と七尾湾と隔てるように突き出している能登半島の真ん中あたりに位置する鵜浦。息をのむような美しい日の出!



 早起きしたのは朝焼けを見るためではなく鵜浦にある鹿渡島定置へいくためでした。 定置網を主体とし、漁船一台で運営されている網元です。平均年齢33歳の若い漁師軍団。
イケメンぞろいです。


 この日は潮の流れが早くて穫れ高はイマイチだったそうです。色々と魚の名前を教えてくれたのですが、忘れてしまいました...。ブリとカワハギだけは覚えてます。鴨と香箱蟹は輪島からの頂き物だそうです。あとはイカも!


 代表の酒井さんから色々とお話しを伺うといいつつ朝飯をご相伴にあずかりました。
穫れたてのイカとフクラギ(35-60cm以下のブリ)、輪島の香箱蟹のみそ汁、香箱蟹のウチコ。ウチコとは殻の中にある未成熟のタマゴでどろっとしています。外側にあるのはソトコとよばれてつぶつぶしているそうです。刺身は漁師の皆様の食べ方を真似してネギをのせて唐辛子をふって醤油をかけて食べてみました。美味かった〜〜!
 

 若い人が多い網元という事で次世代につなげられるような新しい形の漁師を模索されておりました。価格が安定している農業と違い日々値段が変動する漁業の難しさを伺いました。常々日本の農業もアメリカのように価格変動するべきと思っているのですが、こうやって実際に市場原理と自然の間で奮闘されている方からお話しを聞くと外から見るだけではわからないものが沢山あるんだなと痛感させられました。特に定置網漁法はがんばれば沢山取れるという訳でなくて穫れ高が完全に潮まかせなので、天候に大きく左右される農業とは近いものがあります。やはり現場の話しを聞くというのは非常に重要ですね。



 定置網漁法は日本独自(富山県氷見では400年の歴史がある)のものと言われており、環境に優しい漁法として近年世界中から注目を集めています。富山湾は1000mの深度があり、天然のいけすともいわれ、とても定置網業法に向いているそうです。詳しくはこちら

 こちらでは直販や自前の加工にちからを入れているので興味を持たれた方は是非オーダーしてみてください。鹿渡島定置。お任せコースにすれば旬のものを厳選して入れてくれます。魚種を指定しまうと手元になければ別市場から引っ張ってこなければならないので、割高になります。(それでも都心部よりははるかに割安ですが)魚の事は漁師に聞け!と思うのでお任せが一番かと思います。頼めば卸して送ってくれるので色々と相談してみるのもいいかと思います。

網にかかった神様です。衣装からおそらく韓国の物のよう。なんかこういうのって不思議でいいですよね。海でつながってるんだから当たり前なんですけどね...




まるでトトロのロケ資料のような鵜浦の田園風景。右上は日の出直後です。




 東龍さんがプロデュースされる九谷焼と輪島塗の融合、伝統的新工芸KyuWaが紹介されているブログ:木挽町便りがありました。ちなみにこのブログのリンク先にあるニッポンのワザ.comも素晴らしいWebマガジンですので是非。石川県の伝統工芸はもちろん日本各地に伝わる匠の技を紹介しています。

その五へつづく


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