カキP 主要メンバー 星さんのまとめです。(FACEBOOK より転載)
再訪となった雄勝町。
(前回 http://on.fb.me/v4wVs2)
この日は未明から雨。雲に覆われた重々しい灰色の空が広がり、山々は霧に包まれ、時折大粒の水滴が激しい音たてて降り注ぐ不安定な天候でした
初日は生憎の天候。しかし気温は高く軽く蒸す感じ
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朝9時に「OH!ガッツ」事務所前に到着。
この日は前回「おもり」作りでお邪魔したお宅にて作業。使用済みとなった「帆立の耳吊」用のピンをロープから抜くもの。
オレンジのピンを抜く
抜かれた後。これから新しいピンを刺す作業が待っている
ピン抜きの作業。下に散らばっているのが抜かれたピン
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1本のロープに何本残っているのか詳細には数えませんでしたが、オレンジのピン1本に2個の帆立を吊るとなれば、約80本のピンが1本のロープに刺さってることになります。それを1本1本ニッパーで抜いていくという作業。
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単
純な作業ですが1ロープ終わるのにも結構な時間がかかります。この日は2名でお邪魔しましたが、平日は奥さんが一人でこなしてます。作業場一杯に置かれた
未開封のロープの数を見れば、今後準備にかかるの作業量は一目瞭然。これらの下準備が終わらないと帆立に着手出来ません。
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朝から始めて16時頃まで、5時間弱作業しましたが、3人で黙々とやっても約160本まで。まだ相当数を残して終了せざるを得ず、後ろ髪引かれる思いで撤収となりました。
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「毎年する作業ならわざわざ手伝わなくても良いのでは?」この作業だけに言えばその通りです。
しかし、津波により殆どのロープが流された今シーズン、新たにロープを仕入れ、それをカットしてから新しいピンを刺さなければなりません。作業内容と作業量が倍以上に増えているのです。
未開封のロープ
カットされ束ねられたロープの山
カット前のロープ
作業場内はロープだらけ
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これら未開封のロープをカットしていく「ロープ切り」も単純作業なだけに、ルールが分かれば誰にでも手伝うことが可能です。初回の「おもり」作り同様、人手が多ければ多いほど早く終わります。
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ロープ切り後「帆立の耳吊り」までの簡単な流れは
【ピンを刺す(機械)】【帆立に穴をあける(機械)】【帆立を耳吊る(手作業)】だそうです。
「ピン刺し、穴あけ」用の機械にセットするのは手作業になるので、全てがオートマチックで進むのではありません。肝心の「耳吊り」までにはまだまだ工程が残っており、堤防前に用意されたテントの骨組みは、それら下準備が終わるのを待ちわびてます。
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この日の作業終了報告をし、翌日の予定確認をすると、今回の主題「下記の稚貝ロープくぐり」を行う旨を受けました。
そ
して翌朝。炊き出しやボランティアで支援活動を行う「東日本支援ネットワーク はぐみ」
http://www.facebook.com/#!/HugMeNoHito から、度々行動を共にする仲間6名が日帰りで雄勝入り。9時前にOH!
ガッツ事務所前で全員集合し、計8名で雄勝水浜へ
県道から見下ろした水浜
水面下の岸壁上に漁船が停泊
この日は若潮。満潮前でこの状態
一部埋め立て作業が済んでいるが・・・
薄く線のように見えるのは沈下した堤防
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小さな湾は約1.5m程地盤沈下しており、かろうじて土と砂利が盛られた作業をする船着場の岸壁は、満潮前にも関わらず浸水してました。震災前釣りをしていた堤防は完全に水面下に沈み、大潮ともなれば完全に視界から消えてしまうそうです。
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いよいよ稚貝のロープくぐり
これだけの量をくぐるのが本日の使命
漁船一杯に積まれた帆立の貝殻
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見るからに「大量」の貝。今回8名参加中半分の4名が女性。この日は東北の10月末だというのに気温20℃の快晴。半袖でも十分過ごせて、軽く動けば汗ばむような青空の下での作業となりました。
快晴
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作業台となる卓球台。
4分割された台の一部の裏から太い釘が打ち抜かれています。
卓球台に釘を刺し、4人で作業できるようになっている
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この上に稚貝が付いた帆立の貝を広げます。ねじられたロープに釘を差し込んで広げ、その隙間に貝を「くぐらせる」
稚貝が付いた帆立の貝殻
釘にロープを差し込み
ロープのねじり口を広げる
広げたねじり口に貝殻を「くぐらせる」
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ねじ込んだ後、ねじりを戻してキツく絞めないと海上で船から投げ込む際抜け落ちてしまいます。
結び目を返し、貝殻をキツく挟む
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大小入り混じった10数個の貝を1本のロープに括る作業が繰り返されます。
一枚の貝殻に1個から多いもので10個前後のカキの稚貝が付着している
1本のロープにこれだけ括られる
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編
み込まれたロープはとてもしっかりしており、ねじり口を開く作業は指の根元に負荷がかかり、くぐらせるにも海への投入時に抜け落ちないようバランス良く
引っ掛けなければなりません。無理矢理ねじり口を開くので、ロープの他の部位に掛かったテンションを戻しながらねじりを返す。この作業を1本のロープで何
回も繰り返します。
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実はこの作業かなりの力仕事。女子にとってはそれなりに重労働だったと思います。これだけの量を黙々とくぐりつけ終わらしたのは、素晴らしいと思います。(ちなみに自分は全くセンスがなく、籠に積まれた帆立運搬係に徹していました)
くぐられた貝殻。一籠に10本前後
船一杯に積まれた籠
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一籠に10本前後の仕掛けを、3往復で約40籠分を養殖場に投入、この日も16時に終了となりました。
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今回、1日目の夜に「OH!ガッツ」代表とお話しする時間を持てました。現在「OHガッツ!」ホームページ http://oh-guts.jp/ でもわかるように、従来の漁業に外部からのアイディアを組み入れ、震災で背負った負の遺産を、いかにプラスに変えていくべきか?「元通り」で終わるのではなく「未来的な新しい町」への行動をしておられます。
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土
地柄、元来閉鎖的な考え方が主流な漁師町なだけに、外部からの新しい風に対して抵抗が強かったそうです。このままでは漁業も衰退していってしまうと危惧し
ていた矢先、突如襲いかかってきた津波。生活のすべてを飲み込まれ流された今、地方からの人を積極的に受け入れ、新たな漁業事業アイディアの発案と実施に
向け、休む間もなく動いてるそうです。
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前回も記載した「そだての住人」から始まり、海産物の販売はもとより、漁業体験や海洋業に関わる免許事業の開設など、数年をかけ集客事業拡大を目指し、雄勝の宣伝の為の活動や、市や県との折衝を限られた「漁の合間」の時間に走り回っているそうです。
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都
心と違ってどこへ行くにも往復数時間。(貝くぐりした水浜と、ピン抜きした立浜は湾の対岸ですが、車で往復30分かかります)コンビニ行くにも一山超え、
自販機を見つけるのも一苦労な地域です。本業をしながら役所との打ち合わせ、またこの週末10月29,30日には代々木公園でのイベントのため来京ととて
も積極的に行動なさってます。
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「全員は無理でも、一人でも構わないから同じ人が来れる時に来てもらえると助かる」つまり、
リピーターが存在することによって、いちいち彼らが作業内容を説明しなくとも、参加者内で完結できるからです。それにより彼らが復興活動に専念できるなら
ば、中長期的に続けるべき支援だと思います。
「炊き出しは助かる。それは間違いない。しかし、そろそろ自分達の足で立ち、歩き始める時期に来ている。無償の支援にこれ以上甘えてはいけないんだ」と
現地の、家も仕事も、もちろん収入も失った方から聞く話としては、とても重く考えさせられました。
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数は少ないと思いますが、恐らく同様な地区(復興に向けて活動してる地区)もあると思います。「OH!ガッツ」=雄勝とは、沢山の人の出会いがきっかけで辿り着きました。これも一つの大きな縁と捉え、暫く腰を据えてお世話になりたいと思ってます。
第一回目かきP
-牡蛎稚貝ロープくぐり&帆立の貝通しプロジェクト-1